フランス出身の俳優さんは、個性的な方が多いと思います。
カトリーヌ・ドリーブ、ジュリエット・ビノシュ、エヴァ・グリーン、メラニー・ロラン、レア・セドゥ、ノラ・アルネゼデール
その中で、今回はジュリエット・ビノシュをご紹介します。
彼女の映画をみると、刺激をもらえます。それだけではなく、
生きる力がもらえるのが映画です。
ジュリエット・ビノシュ、どんな人?
『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー助演女優賞を受賞、また世界三大映画祭のすべての女優賞を受賞した女優です。
1964年パリ生まれ。
父はフランス人彫刻家、俳優、演出家、母はポーランド出身の女優。
両親はビノシュが4歳の時に離婚したため、それぞれの親とカトリックの寄宿学校の間を行ききして育ちました。
寂しさを紛らわすために演劇を始め、フランス国立高等演劇学校で演技を学び、12歳で舞台に立つまでになりました。
この時の両親の家とカトリック寄宿学校との行き来がのちの彼女の人生に大きく影響をして、寄宿学校の生活が演技に興味を持つきっかけとなったと話しています。
本当に芝居に目覚めたのは寄宿学校に入れられた時です。
親に見捨てられたように感じ、孤独を紛らわすために芝居に没頭しました。
空想の世界で演じていると何でもできるような気がして、女優になりたいと思いました。
出演した作品は、
『汚れた血』、『存在の耐えられない軽さ』、『ポンヌフの恋人』、『ダメージ』、『トリコロール/青の愛』『イングリッシュペイシェント』『コード・アンノウン』、『ショコラ』、『シェフと素顔と、おいしい時間』、『PARIS』、『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』、『隠された記憶』、『夏時間の庭』、『トスカーナの贋作』、『コズモポリス』、『ゴジラ』、『アクトレス〜女たちの舞台〜』、『チリ33人 希望の軌跡』、『ゴーストインザシェル』『私の知らないわたしの素顔』
私生活では、1993年にスキューバダイバーの男性との間に男子を出産。
1999年に『年下のひと』で共演したブノワ・マジメルとの間の女児を授かる。
フランス国立高等演劇学校で学んだエリートという気もしますね。
日本人監督とも仕事をしていて、河島直美監督作品にも是枝監督の映画『真実』でカロリーヌ・ドヌーヴの娘役を熱演しています。
ジュリエット・ビノシュ、3大映画賞受賞?
1983年に公開された『lリバティベル』ではじめての映画作品に出演しました。
『ゴダールのマリア』『ランデブー』などの作品でフランス国内で人気となり、『ランデブー』でロミーシュナイダー賞を受賞しました。
1986年公開された『汚れた血』でシュザンヌ・ピアンケッティ賞を受賞。
1988年公開の『存在の耐えられない軽さ』でアメリカ映画デビューを果たしました。
1991年に公開された『ポンヌフの恋人』でヨーロッパ映画賞女優賞を受賞。
1993年公開の『トリコロール/青の愛』でヴェネツィア国際映画祭女優賞とセザール賞主演女優賞を受賞。
1996年公開の『イングリッシュ・ペイシェント』でベルリン国際映画祭銀熊賞とアカデミー助演女優賞を受賞。
2000年公開の『ショコラ』でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、同年の舞台ハロルド・ピンターの『背信』でトニー賞にノミネートされました。
2010年公開の『トスカーナの贋作』で第63回カンヌ国際映画祭の女優賞を受賞しました。
ヴェネツィア国際映画祭女優賞、ベルリン国際映画祭銀熊賞、カンヌ国際映画祭女優賞の三大映画祭で受賞をするという華々しい経歴を持っています。
中でも、私はジュリエット・ビノシュが演じた職人的な役柄が好きです。
劇中ですが、その演技は本当に職人のように見えたのです。
孤独を紛らわすために芝居に夢中になったから、今日のジュリエット・ビノシュがあるのだと思います。
ジュリエット・ビノシュ、お勧めは?
そのひとつが『ショコラ』です。
思わず、チョコレートが食べたくなる作品。
2000年製作、監督はラッセ・ハルストレム
主演がジュリエット・ビノシュ、ジョニー・デップ、ピクトワール・ディゾルジョアン・ハリスの同名小説を原作に、不思議なチョコレートを売る母娘が因習に囚われた村に変化をもたらしていく姿を描く。
古くからのしきたりに縛られたフランスの小さな村。
北風とともにこの土地にやって来たヴィアンヌとその娘アヌークは、孤独な老女アルマンドから店舗を借りてチョコレート店を開く。
村人たちはヴィアンヌが作るチョコレートの不思議な美味しさに魅了され、心を解きほぐされていく。
しかし厳格な村長レノ伯爵はそれを快く思わず、村人たちにヴィアンヌの悪口を言いふらしてチョコレート店への出入りを禁じてしまう。
ショコラ公式サイトより抜粋
ギルバートグレイプに出演したジョニー・デップが出演するので映画を観た記憶があります。
チョコレート作りのシーンに魅せられました。
一番の思い出のシーンが、温かなチョコレートドリンクを作るシーン。
映画を観ながら、帰りに温かなチョコレートが飲みたいと思わされました。
フランス旅行に行くとチョコレート専門店があり、そこでたくさんのチョコレートが売られているとついたくさん買いたくなる気持ちが蘇りました。
次の作品は、「ポトフ 美食家と料理人」です。
監督は、「青いパパイヤの香り」「ノルウェイの森」などの名匠トラン・アン・ユン氏。
料理監修は、ミシュラン3つ星シェフのピエール・ガニェールが手がけ、シェフ役で劇中にも登場。
主演はジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル料理への情熱で結ばれた美食家と料理人の愛と人生を描き、2023年・第76回カンヌ国際映画祭で最優秀監督賞を受賞したヒューマンドラマ。
19世紀末、フランスの片田舎。「食」を追求し芸術にまで高めた美食家ドダンと、彼が閃いたメニューを完璧に再現する天才料理人ウージェニーの評判はヨーロッパ各国に広まっていた。ある日、ユーラシア皇太子から晩餐会に招かれたドダンは、ただ豪華なだけの退屈な料理にうんざりする。食の真髄を示すべく、最もシンプルな料理・ポトフで皇太子をもてなすことを決めるドダンだったが、そんな矢先、ウージェニーが倒れてしまう。ドダンはすべて自分の手でつくる渾身の料理で、愛するウージェニーを元気づけようとするが……。
公式サイトより抜粋
ナイフで野菜を収穫していく音が瑞々しい野菜の様子を伝えてくれます。
収穫した野菜を水で洗う音、水音と野菜が出す音が心地よい。
早速、料理に取り掛かります。
包丁で刻む音、火をつける音、鍋が温まり油を注ぐ音、食材が炒められ音、そしてぐつぐつと煮込んでいる音。
とにかく食材を料理する音が響く。
思わず唾を飲み込みそうになる。
音だけ、画像だけなのになぜか料理の香りがしそうになる映画。
この後、じゅうっという料理の音を聞きたくなる不思議な映画です。
ジュリエット・ビノシュ、五感を刺激?
この料理人と美食家が友人を招いたパーティーのシーンが出てきます。
屋外にテーブルを出し、真っ白なクロスで覆っています。
次々と出される料理。
交わされる会話。
次々と注がれるワイン。
鳥のさえずりの中で、美味しい料理に会話もはずむ。
料理のシーンでも感じたことが、料理は五感を刺激してくれる大切な営み。
そして、食卓に着くことは、いのちをいただくこと。
映画を観終わった時に、料理することが生きること。
そのことに気づかせてもらえた映画でした。
ジュリエット・ビノシュの演技にも大いに生きる力がもらえました。
映画って素晴らしい。
コメント