クリスチャン・ラクロワ、どんな人?、デザインは?、アートワーク?香水も?最近は?

フランスと言えば、モードの国。
たくさんのデザイナーがいますし、毎年2回ファッションウィークが開催されます。
毎回、会場は美術館の中庭だったりお城を活用したりと楽しみもあり、ランウェイに使われる音楽や舞台演出も楽しみのひとつです。
そのデザイナーの中から、今回はクリスチャン・ラクロワを取り上げます。

感性で美しさを創り上げるデザイナー クリスチャン・ラクロワ

 

クリスチャン・ラクロワ、どんな人?

1951年5月16日、南フランスのアルルに生まれました。
家庭はハイセンスな家庭に育ったと言われています。
家族が美術やモードへ関心が高かったために少年時代から、バルセロナ、ヴェネツィア、ロンドンなど異国の地に憧れ、美しい色彩に興味を持っていたといいます。

1969年モンペリエ工業大学へ入りました。
1973年に美術館学芸員になるためにパリに移住。
パリでソルボンヌ大学のエコール・デュ・ルーブルで美術を学び、卒業します。
在学中に、妻となるフランソワーズ・ローゼンティールと出会い、彼女にモードの世界を勧められます。

1978年にエルメスに入社、アクセサリーのデザインを手掛けます。
1980年にはギ・ポランのアシスタントを務めます。(日本の皇室の御用達ドレスメーカーとコラボ)
1981年クチュールブランドとして有名なジャン・パトゥのメゾンに入り、オートクチュールのチーフデザイナーに就任しました。
1986年に権威のある「黄金の指ぬき」賞を受賞。
1987年アメリカでもっとも活躍するファッションデザイナーを表彰するⅭFDAで最優秀外国人デザイナー賞を受賞。

同年、モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンの会長を務めるベルナール・アルノーに才能を認められ、ブランド設立の出資をうけることになりました。
1987年、クリスチャン・ラクロワががデザイナーと務めるクリスチャン・ラクロワのブランドが設立されました。
VOGUE.ⅭO.JP より抜粋

ブランド名に自分自身の名前を付けたクチュールメゾンを立ち上げて、メディアから絶賛を浴びました。
独特の技術と華美なディテールを使って魅了してくれました。
ただ、彼のデザインのファンは多かったけれども、例えば映画祭などのレッドカーペットを歩く女性がクリスチャン・ラクロワのドレスを身にまとうケースはありませんでした。
活躍をしたものの、ジーンズ・ド・クリスチャン ラクロワを発表するも人気は低迷。
2005年にはLVⅯH傘下から外れ、2009年に幕を閉じました。

デザイナーとしての才能を支持したのは毎年のモードを見続けているジャーナリストなどの専門家によるものでした。
そのドレスを誰もが日常で着たいと思わせるデザインではなかったのでしょうか。

豪華な素材を扱う点は美術館学芸員を目指したところから来るものだと言えます。
才能とブランドの力がイコールではなかった、モード界の厳しさを感じます。
美術館学芸員を目指した界の異色の経歴を持つデザイナーの才能は確かだったともいえるから皮肉なものですね。

 

クリスチャン・ラクロワ、デザインは?

クリスチャン・ラクロワのインスピレーションの源になっている物があるといいます。

故郷の南仏プロヴァンス地方を始め、カマルグ地方、セヴェンヌ地方、スペイン、ジプシー、闘牛などからイメージされる熱く強い色彩。
18世紀から20世紀までにかけて着用された民族衣装や伝統装束。
また、おとぎ話の世界です。
コントラストの強い異質のスタイルを大胆にミックスさせるクリエーションは、服に対する常識を超越し、非常に奇抜な作品群を提案し続けてきました。
オートクチュール、プレタポルテ、オペラの舞台衣装、企業制服、インテリアデザイン、車両デザイン、イラストレーションなどモードに制限されない幅広いジャンルで輝き続けます。
VOGUE.JAPAN ⅯAGAGINEより抜粋

2008年に開催されたエクスポジションでのクリスチャン・ラクロワのオートクチュールと美術館の膨大なコレクションの中から厳選された作品が展示されました。
その中の特徴としては、チェック・ストライプ・水玉模様・花柄・キルト・ツイード織、グラフィック・市松模様などと言ったテクニックやテーマごとになっています。
黒と白を含む様々な色ごとに細かく分類されました。

各カテゴリーに寄せるクリスチャン・ラクロワの言葉は単なる解説ではなかったといいます。
子どもの頃の小さな記憶、色に対する印象、芸術に向き合う姿勢など多方面からの切り口となったそうです。

美術館学芸員を志した美術史家としての確かな知識とクリスチャン・ラクロワの主観が満ちた回想展に留まらない空想美術館となっていました。

おそらく自分の中にも、クリスチャン・ラクロワのデザインをみるたびに、美術作品に近いものを感じていたのかもしれません。

彼が選んだ柄や模様、布の質感も含めて美しいものを見抜き、取り上げた審美眼に魅了されていたのかもしれません。
デザインというよりもアートに近い感覚なのかもしれません。
映画監督のルキノ・ヴィスコンティの作品に近いものがあります。

クリスチャン・ラクロワ、アートワーク?

ブランドは幕を閉じましたが、彼が作り出す世界観の評価は極めて高いです。
それは日本においても言えることです。

過去に作成したアーカイブドレスは、2010年にパリ装飾美術に寄贈されました。
2013年には20世紀に最も影響を与えたデザイナーの一人として称されるエルザ スキャパレリにゲストデザイナーとして参加し、15点のオートクチュールをデザインしました。
クチュリエを終えた後も活躍の場を広げ、美術館や衣装デザインを手掛けています。

fashion.trend.netより抜粋

パリを訪れた時に、手芸店に立ち寄ったことがあります。
ボタン・リボン・毛糸・刺繍糸とワクワクするアイテムがたくさん並んでいました。
その中で目に止まったボタンがありました。
十字の形でグリーン、素材はレジンかなと思いました。
とても可愛らしくて、手元に置きたいと思い、アクセサリーのリメイクをしている方に加工をお願いしようと考えて買いました。

レジの人に教えてもらいました。
「クリスチャン・ラクロワ」のボタンです。

この時、クリスチャン・ラクロワのセンスの良さを知りました。
希望通り、リメイクしてもらったのはイヤリングとペンダントヘッドになりました。

クリスチャン・ラクロワ、香水も?

クリスチャン・ラクロワの功績の中で、1987年にプレタポルテコレクションを発表しました。
1990年にブランドの代名詞となる香水セラヴィ(Ⅽ’est la vie)を発表。
1994年にはバサール(BAZAR)を発表しました。
2005年にはテュミュルトを発表したのです。

この中から、バサール(BAZAR)について調べてみました。
バサール(BAZAR)とは市場を意味します。
文字通り香りのバザールです。

フレグランスの調香は調香師がブレンドしています。
トップ:カッシア、ペッパー、ピーチ、オレンジブロッサム、ネクタリン
ミドル:ピオニー、ハイビスカス、ジャスミン、ナスタチウム、アプリコットブロッサム、フランジパニ
ラスト:バーオレットルーツ、アンバー、サンダルウッド、ムスク、サイカモア、ガイアックウッド、オリス

一部の香りを紹介します。

トップは最初の印象が爽やかで軽い香りで、5分~15分香ります。
カッシアとは、シナニッケイ(クスノキ科)のことで、オレンジブロッサム(ミカン科)は言葉通りオレンジの花です。
ここにピーチやペッパーも加わると少しスパイシーで華やかなイメージがあります。

ミドルはフローラルなど華やかな香りで30分から2時間香ります。
ジャスミン(モクセイ科)は香料業界では至高の植物と言われ、華やかでオリエンタルな香りです。
フランスグラースの香料産業の発展を担った香りです。

ラストノートは、ウッディで温もりを感じる香りで2時間以上香ります。
サンダルウッド(ビャクダン科)は昔から活用されてきた植物で香りはマイルドなウッディです。
主にオリエンタルタイプの香水に用いられる香料です。

これだけのブレンドから醸し出される香りはBAZARのイメージにふさわしい感じがします。

 

クリスチャン・ラクロワ、最近は?

2020年にドリス ヴァン ノッテン春夏コレクションにゲストデザイナーとして迎えられました。
クリスチャン・ラクロワと共同で創り上げたコレクションは大きな話題を呼びました。
全盛期と変わることなくクリスチャン・ラクロワが得意とするパターンを使用しながら、色彩豊かなカラーを豊富に使用したアイテムでシルエットとカラーリングを絶妙なバランスで表現しました。

舞台は、ロンドン中心部のラッセル・スクウェア付近にある、格式高いホテル。一歩足を踏み入れると、想像を絶する夢の世界が広がっていました。

色とりのスイーツがラインナップされた華やかな会場。

会場に入ると、そこはパステルカラーのスイーツがぎっしり!
まるで、おとぎ話の世界に迷い込んだかのような感覚に。
どれも本当に美しく、見ているだけでうっとりとしてしまいますが、実は単なる装飾ではなく、どれも食べられるのだとか!

あまりの美しさについ目を奪われていると、「好きなだけ食べて!!」とスタッフの方が勧められ手を伸ばし、まずは一口……。想像をはるかに超える豊かな味わいが口全体に広がり、疲れた身体を程よい甘さが癒やしてくれました。

fashion.trendo.net

彼がデザイナーとして、クチュールメゾンを立上げたのは1987年。
それから、2009年に幕を閉じました。
22年間、走り続けました。
その後も、クリスチャン・ラクロワのデザイナーの力を借りたい人はたくさんあらわれました。

感性で美しさを創り上げるデザイナー クリスチャン・ラクロワ

今も健在です。

クリスチャン・ラクロワ、用語解説

モードの用語を解説しておきます。

オートクチュール:フランス語で「高級な仕立服」を意味します。現在ではパリ・クチュール組合(La Chambre Syndicale de la Couture Parisienne、ラ・シャンブル・サンディカル・ド・ラ・クチュール・パリジェンヌ、通称サンディカ)加盟店で注文により縫製されるオーダーメイド一点物の最高級仕立服を指す。その店のことは、オートクチュールメゾンという。

プレタポルテ:既製服および高級既製服を指すファッション用語。フランス語で「既に用意されていてすぐ着ることができる(既製服)」を意味する。

ファッションウィーク:服飾の新作発表会・販促展示会であるファッションショー」のうち、特に約1週間 (a week) にわたって開催されるものを指す、ファッション業界のイベントである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました