町田そのこ本、どんな人、作品は、テーマは、

友だちに勧められて読んだ本ってありませんか。
それが、町田そのこさんの本で宙のごはんでした。
なぜ、友だちはその本に魅せられたのか、読んでみるとわかる気がしました。
人がつらい時にどのように立ち直っていくのか、そのヒントが宙のごはんにはありました。

本当につらい時に寄り添ってくれるのは温かな食事だね

町田そのこ本、どんな人

町田そのこさんは、お母さんから勧められた氷室冴子さんの著書、クララ白書やなんて素敵にジャパネスクなどに夢中になり、作家になろうと思ったとインタビューに答えています。

小学校3年生の時に、氷室冴子さんの小説と出会いました。
それまでは、絵本とか漫画ばかり読んでいて、小説に触れたのは氷室さんの作品が生まれて初めてだったそうです。その時の気持ちを話しています。

「すごく面白くて、そこから夢中になったんです。」
「母も氷室さんが好きで、2人で読んで感想を語り合いました。」
「そこから、「私もこういうのが書けたらいいな」と思うようになっていきました。」

高校生の時には、小説を書いたり、友人の依頼で演劇部の台本を書いていたこともあったと言います。
その後は、ユニークな経歴を重ねていきました。

お母さんの勧めで、手に職をつけるために理容美容学校に進学しました。
卒業後は、理容師になったものの1年で退職。
複数の職に就いたものの、20代半ばで結婚、専業主婦として子育てをしている28歳の時に小説家を志しました。
その背景には、

3人の子を育てながら地元で執筆活動を続ける町田さん。
20歳で県内の理容師専門学校を卒業後、理容師の職に就くものの1年で退職。
その後、レストランの店員や100円ショップ、和菓子店、葬儀屋など職を転々とした。

「28歳までは、自分には何もなかった」と語る町田さん。
当時、子育て中の専業主婦だった町田さんが、作家を目指したのは「ある人の訃報」がきっかけだった。

氷室冴子さんの訃報に接したからと語っています。

本屋大賞・町田そのこさんインタビュー。「28歳まで自分には何もなかった」 | Business Insider Japan
『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞した町田そのこさん。いま最も注目される作家となりましたが、職を転々とし「コンプレックスしかなかった」時期があったと言います。

これまでの小説家、学歴のある方が多かった気がします。
少女向け小説にはまり、小説家になりたいと思っていた高校生の頃。

母親の勧めで、手に職をつけてみたけれど、複数の職業に就きました。
結婚して、出産をして、専業主婦だった町田そのこさん。

大好きだった氷室冴子さんの訃報に接して、小説家を目指し始めたといいます。
小説と出会い、小説家を目指し、行動を始めました。

そのチャレンジ精神は素晴らしいと思います。

 

町田そのこ本、作品は?

町田そのこ本、その作品たち

2016(平成28)年「カメルーンの青い魚」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2017年、同作を含むデビュー作『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』を刊行。
2021(令和3)年『52ヘルツのクジラたち』で本屋大賞を受賞。
他著書に『ぎょらん』『コンビニ兄弟 テンダネス門司港こがね村店』『宙ごはん』『夜明けのはざま』『わたしの知る花』などがある。

映画化された52ヘルツのクジラたちもとてもよい作品ですが、今回は「宙ごはん」を取り上げご紹介します。

小説の中には、たくさんの食事などがでてきます。
ていねいに作るご飯は、食べる人を、この物語を読む人をも幸せな気持ちにしてくれるからです。
まだお読みになっていない方には、あらすじをお届けします。

 

宙ごはん

宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいて「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。
代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづける。

『宙ごはん』町田そのこ|小学館
生まれて時から育ての「ママ」と一緒に暮らしてきた宙。小学校入学をきっかけに産みの「お母さん」、花野と暮らすことになるが、彼女は理想の母親像からは程遠く……。『52ヘルツのクジラたち』『星を掬う』の著者、町田そのこがおくる『宙ごはん』。202...

サイトにあった読者の感想も披露します。

やせ細ったこころに、栄養満点のごちそうをとどけてくれる小説です。

いろいろな壁にぶつかった時に、主人公の宙には元気づけてくれるビストロのシェフがいました。
言葉だけではなく、ていねいに作った料理で宙を励まし続けてくれました。

時々、そのレシピの作り方も教えてくれ、宙はご飯を作れるようになっていきます。
そして、失意の底にいる人のために食事を作り、笑顔を引き出していくように成長していきます。

何かつらいことがあったときに、美味しい手作りのご飯があったらどんなに心がほっとするでしょう?

町田そのこ本、テーマは?

氷室冴子さんの小説に出会った時の想い出を語っています。

小学校の5年生から6年生の頃、いじめに遭っていました。
そのことを母にも学校の先生にも言えなかったのです。
休み時間に独りで氷室さんを読んでいたのですが、氷室さんの作品に出てくる女の子たちはみんな芯があって強いので、自分で困難を乗り越えていく登場人物たちに応援されているような気持ちになりました。
毎日辛くても、氷室さんの作品に、背中を押してもらっていたのです。
必ず小説家になって、作家として氷室冴子さんに会いたいというのが夢だったといいます。

いじめにあっていた時に、ノートに先生に宛てた手紙を書きました。
母親が、机にしまっていたノートを発見して、先生のところに行ってくれて、問題が解決していきました。
そういう意味でも、私は文章に救われているのかもしれません。

【時間デザイン研究所】掲載記事より抜粋

自分で困難を乗り越えていく小説の主人公にはげまされてきた町田そのこさん。
いじめにあっていた時は、主人公たちの芯の強さを直球で受け止めていたのかもしれません。

氷室冴子さんの小説に励まされた町田そこのさん。
小説家になってから、物語を通して、励ましを発信しているのかもしれません。

選ぶテーマが美味しい食事を作って励ますことだったり。
日々、忙しくして、ゆっくりと味わうことなく食事をしていたりもします。
そんな時に、宙ごはんはていねいに作る食事と話をきいてくれるひとがいたら、いいですね。

宙ごはんを読んだ読者が、やせ細った心に栄養満点のごちそうを届けてくれる小説家と言っているのは共感できます。

本当につらい時に寄り添ってくれるのは温かな食事だね

有名なレストランで食べるよりも、大切なことかもしれません。

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