ジヴェルニーの庭 モネ、原田マハ、あなたにとっての庭、絵画のほかは?

最近、購入した美術館の入場券があります。それは、印象派をめぐる旅チケットというものでした。
印象派の作品をめぐる展覧会が2ヶ所で開催されているのをめぐるためです。
会場は三菱一号館美術館で、オランジュリー美術館オルセー美術館コレクションよりルノワール×セザンヌ モダンを拓いた2人の巨匠がテーマです。
別の会場は国立西洋美術館で、オルセー美術館所蔵 印象派 室内をめぐる物語がテーマです。
日本では、印象派の画家たちは人気がありますね。
作品自体が明るいし、風景や人物、そして当時の生活の様子が描かれた作品が多くて親しみやすさがあるのではないかと思います。
印象派の活動が芽生えたのが1870年から1880年代、19世紀後半です。
特に印象派を特徴づけたのが、クロード・モネの日の出という作品と言われています。
ここでは、モネの作品に関してジヴェルニーの庭をピックアップするとともに、モネの人生を原田マヤさんの著書等で知ったため、その内容も紹介します。
自分にとってのお気に入りの場所や庭があったらいいですね。

あなたにとって幸せを感じる場所、庭を持ちませんか。

そのヒントをお届けします。

 

ジヴェルニーの庭 モネ

印象派の画家たちが活動を始めたのは1870年から1880年代と言われています。
19世紀後半のこととなります。
クロード・モネは1840年にパリ生まれ、5歳で家族とともにフランス北西部のノルマンディーに引っ越しました。

彼が芸術の活動を始めたのが15歳でデフォルメをした戯画を描くようになり、18歳には油彩画も描くようになりました。
本格的に画家を目指し、パリのモンマルトルに部屋を借りました。
パリ旅行のためにガイドブックを買うと、モンマルトルは芸術家が住んだ街として今でも紹介されています。
今でも、スケッチをする画家がいたりします。

一時、兵役のためにアルジェリアに行きますが、病気になりフランスにもどり、パリでルノワールやシスレー、26歳でマネとも出会いました。
当時のパリの画壇は、芸術アカデミーという集団が権力を持っていたため、印象派の画家たちは受け入れてもらえずに苦労が続きました。
30代頃のモネの暮らしは苦しくて、食べるものにも困っていたといいます。
40代になり、作品が少し売れたり、印象派の展覧会が開催されるようになって、暮らしは落ち着いていったようです。

50代でジヴェルニーの土地を購入し、庭作りに熱が入っていきました。
ジヴェルニーの土地をさらに購入して、水の庭を造ることが目標となっていきました。

ジヴェルニーの庭という作品が誕生するまでを想像すると、画家として売れるまでに時間がかかっています。
しかも、当時の画壇は芸術アカデミーが牛耳っていたため、印象派の展覧会を開催するまでに長い時間がかかりました。
50代となったモネが理想の庭作りに熱をいれて手掛けていたからこそ、ジヴェルニーの庭という作品が誕生しました。
長い道のりを経て、作品が売れるようになったんですね。

 

ジヴェルニーの庭 原田マハ

印象派の画家たちの作品や画家たちの人生を調べていた時に図書館で出会ったのが原田マハさんの本でした。
当時の印象派の画家たちについて、人物にも興味があり、情報がほしくて探し当てて手に取ったのが原田マハさんの本でした。

最初は、印象派といえば、ルノワールやマネを思い浮かべましたが、原田マハさんの作品を通して、人間モネへの思いが募りました。
原田マハさんの「ジヴェルニーの食卓」という小説、そしてもう1作が「モネのあしあと」というモネの人生をたどる内容です。
この2冊を読むことで、モネの人生に共感できたし、モネという人間が好きになりました。
男性だから厨房に入らない、ではなく生活者として作ることを愉しむ姿勢がいいなあと思いました。
彼が描いた作品だけではなく、彼が描き続ける原動力となった日常の暮らしや食卓、そしてキッチンやリビングまでも親しみをもって眺めるようになったのです。
庭を作る目的は、追い求めた光をとらえて作品に描くというモネの試みがわかるようになりました。

特に、モネのあしあとでは、モネ自身も料理をしたと知り、親近感がさらにわきました。
19世紀後半のフランスで人間らしい生き方を選んだモネをしるきっかけとなりました。
庭作りとともに畑や果樹園まで熱を入れて、さらに、庭を広げ、水の庭を作るに至りました。睡蓮という作品が誕生する背景までよくわかります。
モネは静物画も残していて、果物やタルト、そして食卓を囲む家族が
なぜなら、原田マハさん自身が美術館に勤め、キュレーターという職業をしていたというバックグラウンドがあるからです。
モネの人間性と作品をこの2冊にまとめたのだと思います。

個人的に、モネの生活をもっと知りたいと考え、さらに本を探しました。
それが、林綾野さんの「モネ 庭とレシピ」という本です。
この本では、畑や果樹園で栽培していただろう野菜や果物を知ることになりました。
また、ジヴェルニーの庭に咲く花や植物も含めて、どのような庭だったのかも知ることになりました。
具体的に植えられていたのが、ゼラニウム、アイリス、バラなどで、春になると咲く庭、その小道を歩くと母屋にたどり着くことができたのです。
春の陽射し、咲き乱れるゼラニウムやアイリス、バラの花たち。
絵画にみられる色彩豊かな庭の植物、木漏れ日たちまで、照らされていたことと思います。
毎日、自分が手がけた庭を眺めるのが幸せを感じる時間だったのかもしれません。

ジヴェルニーの庭、あなたにとっての庭は?

モネは、光を描き続けた画家です。
43歳でパリから北西に約80km、ノルマンディー地方のこの村ジヴェルニーに移り住みました。
広大な庭のある細長い家をみつけ、この場所がとても気にいりました。
とりわけ、大きな庭が気に入り、持ち主と交渉をして、家族も呼び寄せたといいます。
パリから1時間ほどの場所、日本でいえば東京から行けるとして、奥多摩や三浦半島先端、小田原、秩父、熊谷、宇都宮くらいでしょうか。
自然が残されている場所ですね。
なだらかな丘が続き、それが空と太陽の光の動きもとらえやすかったのかもしれません。
午前・午後と変化する太陽の光、水面に映る植物の変化も時間を追うごとに違っていたのでしょう。
庭作りに熱心に取り組むようになった結果が作品からみえてきます。

日本でも桜が終わると藤の花が咲き、やがて芍薬やジャーマンアイリス、菖蒲類が咲きます。
紫色、白色、黄色、ピンクなど美しいです。
芍薬やバラも咲いていれば、香りも漂いそうです。
作品モネ家の庭の小道、ジヴェルニーに描かれている小道を歩いてみたくなります。
水の庭は、有名な睡蓮を描くもとになったでしょうし、藤の花が咲く太鼓橋もかけて作っていました。

お気に入りの庭はありますか。庭ではなくても場所がありますか。
この場所に来ると、肩の力が抜けてリラックスできるとか、思い切り深呼吸ができる場所です。
そういう場所をもっていると、気分転換をするのに役立ちます。
私にも庭ではありませんが、お気に入りの道があります。
東京都千代田区にある皇居東御苑、桜が咲く頃の千鳥ヶ淵周辺です。
同じ季節であっても、毎年、植物のタイミングが変わったりするので、定期的に訪れるのが楽しみです。

 

ジヴェルニーの庭、絵画のほかは?

クロード・モネという画家に親近感を抱き、暮らし方にも興味を持ったいきさつも書いてきました。
実際のジヴェルニーの庭を訪ねたことがありませんが、残された写真などがいろいろなことを教えてくれます。
例えば、桃色の家、ここの2階には家族とモネが暮らしたスペース、寝室やバスルームがモネと妻のためにそれぞれにあります。
モネの寝室は黄色を基調にしていて、暖炉と文机、ドレッサーだけがありました。
その1階はアトリエと蔵書のあるスペース。
玄関と反対側には、キッチンとダイニングあります。
キッチンはブルーで統一されていて、ダイニングはクロムイエローで統一されていました。

モネが残したレシピもとても美味しそうです。
ジヴェルニーを訪れる友人や知人たちも評判がよかったそうです。
例えば、卵料理ならグリュイエルチーズの入ったオムレツ風に自家製のトマトソースをかけていただく。
西洋ネギとジャガイモのスープは、西洋ネギをバターで弱火でゆっくりと炒めて甘みを引き出す。
フランスも秋になれば、キノコ狩りをします。キノコ狩り名人は、キノコが生える場所は漏らしませんが、モネは村人がキノコを採りに来ても許していたそうです。
中の良い詩人にキノコのレシピを聞くために手紙を書いていました。

昼食を描いた作品があります。
料理だけではなく、スイーツのレシピも残されています。
庭にテーブルを置き、昼食後に果物とお茶をいただいた名残が描かれています。
その周りを散策する家族や来客たち。
ようやく生活を楽しめるようになった様子が伝わります。

モネは付け合わせにグリーンサラダを大盛りにして食卓に出していたようです。
畑では、たくさんのサラダ用の野菜が育てられていたことでしょう。
ルッコラ、チコリ、レタス、クレソン、エンダイブ、ロメインレタス、マーシュ、トレヴィス、名前を聴いただけでも、色どり鮮やかな大盛りサラダが思い浮かびます。

貧しい暮らしが続き、ほかの家族とも同居をしていたモネ。
貧しいからこそ、知恵を絞りながら暮らしを続けてきたことでしょう。
苦しい時期を乗り越えながら、光を画に取り入れることを追い続けたモネ。
画家として、家族の長として、クリエイターとして、庭師としての活躍を遂げたモネ。
その集大成がジヴェルニーの庭であり、水の庭でした。

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