映画文化が発祥の地がどこかを知っていますか。
イメージで言うとハリウッドって思いませんか。
実は、フランスなんですね。
今回はフランス映画を代表する監督エリック・ロメールをご紹介します。
映画に新しい波をもたらしたエリック・ロメール監督の生き方は、「オンリーワン」の人生」を教えてくれます。
エリック・ロメール、おすすめ・ランキング
エリック・ロメールは、ヌーヴェル・ヴァーグ※の青春時代1957年から1963年まで「カイエ・デュ・シネマ」誌の編集長をつとめていました。
※ヌーヴェルヴァーグ(Nouvelle Vague)は、1950年代に始まったフランスにおける映画運動で新しい波を意味します。
つまりは、エリック・ロメールという人物は、元は活字の人でした。
古典文学にも造詣が深く、時間をかけながらもヌーヴェル・ヴァーグの興隆を支える人であり、自らも製作者や撮影者と出会って、時間をかけて映画製作をしたというキャリアの持ち主です。
映画を撮り始めたのは、50年代に弟分であるジャン=リュック・ゴダールと組んだ短編から
です。
フランス人が選んだ作品ベスト10は、
モード家の一夜 1966年
満月の夜 1984年
緑の光線 1986年
コレクションする女 1967年
クレールの膝 1970年
冬物語 1961年
夏物語 1966年
獅子座 1957年
愛の昼下がり 1972年
O侯爵夫人 1976年
海辺のポーリーヌ
レネットとミラベルの四つの冒険 1987年
1967年発表の「男をコレクションする女」は、ベルリン映画祭審査員特別賞に輝きました。
1980年代になると新しいシリーズを撮影し始めています。
そのテーマは「喜劇と格言劇」。
俳優は限定などせずに、何作にでも自由に起用しています。
毎作品ごとに格言がついています。
ロメールの手法は、シェークスピアにさかのぼるポピュラーな伝統に従って作ったといいます。
エリック・ロメール、代表作品は?
ここでご紹介する代表作品は、日本で公開された映画です。
日本で初めて登場したのが「海辺のポーリーヌ」という作品です。
舞台は夏のノルマンディの海辺。
中心には15歳の少女ポーリーヌ。
ポーリーヌを含めた6人の登場人物がポーリーヌの美しい従妹をめぐり、恋のゲームを繰り広げます。
海辺のポーリーヌパンフレットより抜粋
海辺のポーリーヌの格言は、喜劇と格言劇の3作目になり、格言は12世紀の騎士道物語作者のクレチアン・ド・トロワによる<言葉多すぎるはおのれを傷つけるものなり>
海辺のポーリーヌには、6人の登場人物が恋のゲームを繰り広げるのですが、単なる恋愛模様を描くというよりも、登場人物がいろいろと語るのです。
面白くないのか、ではなく、人間の普段の様子って実はこうじゃないのかと思わせてしまう不思議な魅力がありました。
とにかく、セリフが多いのがこの作品にも表れていました。
ああでもないこうでもないと語り続ける繰り返しのストーリーに癖になる面白さを感じました。
エリック・ロメール監督が描く喜劇と格言劇は、恋愛を描いているようで、実は喜劇であるというのもうなづけます。
エリック・ロメール、特徴は?
エリック・ロメール監督がシェークスピアにさかのぼるポピュラーな伝統に従って作品を作ったといいます。
シェイクスピアはイングランドの劇作家・詩人です。
イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物です。
卓越した人間観察眼からなる人間の内面の心理描写により、もっともすぐれているとされています。
シェイクスピアの物語の多くは、当時のイギリスを舞台とはせず、遠い外国や過去を舞台にしたものばかりです。
当時は演劇の上演にも検閲がなされ、国王や国家、教会に対して、批判したり諷刺したりすると取り締まられることもありました。
シェイクスピアは、時にはそういった要素を盛り込みながらも、「これは昔の話ですから」「あくまで外国が舞台です」とうまく立ち回って作品を次々に発表し、人々の心をつかんでいきました。
このバランス感覚は、時の権力への対応の仕方だけでなく、王族から庶民に至るまで、あらゆる層の人を楽しませる作品を書いたという意味も含みます。
「いかようにも解釈できる」バランス感覚と主題のよさが、後の時代に多くの翻案作品を生み出していくのです。
エリック・ロメール監督が描いた作品、特に「喜劇と格言」では人間を観察しながら、格言を持ってくるという点が、人に興味を持たせる作品作りをしている気がします。
海辺のポーリーヌで持ってきた格言は12世紀の騎士道物語作者のクレチアン・ド・トロワによる<言葉多すぎるはおのれを傷つけるものなり>
6人の登場人物の恋愛ストーリですが、とにかく人物がよくしゃべるんです。
多すぎる言葉は、自分を傷つけるっていうところが大いにうなづけます。
この映画の格言は、
「ふたりの妻を持つ者は心をなくし、二つの家を持つ者は分別をなくす」
エリック・ロメール ファッションは?
満月の夜に出てくる主人公のルイーズのファッションはとても印象的です。
黒いドレス、持っているバッグもとてもおしゃれでした。
1984年製作「満月の夜」
パリ郊外のアパートで建築家の恋人レミと暮らすインテリアデザイナーのルイーズ。
生真面目なレミと自由奔放なルイーズの間には口喧嘩が絶えない。
レミとの生活に息苦しさを感じたルイーズは、パリに自分だけの部屋を借り、妻子持ちの親友オクターブと遊び歩くようになるが……。
2人の男と2つの家の間で揺れ動く女性の感情を繊細に描き出す。
主演のパスカル・オジェは本作でベネチア国際映画祭主演女優賞を受賞したが、その直後に25歳の若さで急逝した。
共演に「クレールの膝」のファブリス・ルキーニ、「ニキータ」のチェッキー・カリョ。
この作品の魅力は、俳優のパスカル・オジェの魅力につきます。
インテリアデザイナーの役割なので、暮らしているアパートメントの部屋がシンプルでステキだという印象が残っています。
ファッションも個性的で、パリジェンヌというくくりではありません。
パスカル・オジェの雰囲気がしゃべり方まで儚げな印象なのにも関わらず、自分をしっかりともっていて、それが強烈なパンチとなった衝撃がありました。
この作品を鑑賞した時の自分は20代、自分は何者かと迷っている時期に出会っているため、主人公の生きる姿勢にあこがれを感じていたのかもしれません。
この作品の主人公も「オンリーワンの人生」を教えてくれまています。

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